信じたいっていう引力1
昨夜
いるはずの、病院からの連絡。
「約束の時間になってももどらないし連絡がつきません」
時計は10時を回っている。
あたしも連絡がつかなかった。
てっきり寝てると思ってたのに。
たくさん考えた。
真っ先に浮気の線を思ってしまった。
でも、そう考え出したら囚われてしまうから
他の可能性を考えた。
どっかで行き倒れとか
携帯落として探してたり
考え事したいからエスケイプしてたり。
でも、あたしの思考は
彼の電話ですぐにまた
そこに引き戻されてしまう。
「いや~、病院で寝てたんだ」
全身の毛穴が一度に全部開いた感覚がした。
私の声は間髪いれずに強くまっすぐ彼に向かった。
うそつき!
一瞬凍った。
それから、反射のように彼はまた嘘を重ねる。
「一人で飲んでたんだ」
常套手段。
お見通し。
「あなたが一人で飲まないって、しってるんよ。だいたい一人で飲んでたらいつも電話してくるでしょ。」
私の声は大きく響いていた。
「それに約束の時間を過ぎたら病院に電話しなさいよ!あなた一人勝手なことして、他の患者さんに手が回らないでしょ。」
どんどんなじる
「一人で飲みたいときもあるよ・・・」
もはや答えになっていない彼。
「誰と会ってたの!?前の彼女なんでしょ!」
もうあたしの思考はとまらなかった。
「違うよ、どうして女になるんかね!」
「だって嘘ついてるじゃない」
「・・・ごめん」
私は電話を切った。
私は安いワインを開けて瓶ごと持って水辺に出た。
やめてたタバコも手にした。
出会ったばかりの男の子に電話しまくった。
たばこも吸いまくった。
そして吐いた。
彼のことを考えないようにしたかった。