始まり6 | 裏日記

始まり6

why should i care

私が自分のためにそろえたJAZZのCD

彼が昔唯一買った曲だった

「あ・・すっごくなつかしいよ」

彼は私を抱いて曲に合わせて揺れた

「まさかここで聞けるとは思わなかった」

初めて知るこんな幸せ

彼と居る時

いつも私は新しい感情に驚かされる

彼と居ない時

私の精神は限界に近かった

愛おしくて欲しくて

文字通り病に冒された様に

何も出来ないでいた

荒れる生活

彼を愛するあまり

彼女を傷つけたくない思いが膨らんだ

彼を欲しがる気持ちが膨らんだ

私は人格が二つになってしまったようだった

街を歩いては

彼女の立場の痛みを思い彼を憎み

台所に立っては彼への思いがこみあげ居てもたっても居られなくなる

彼も疲れているらしく誘っても

「またゆっくりしたときね」

という返事が返ってくるだけ

いつもなら平然と通り過ごしていける私なのに

私の中のヒステリックが出口をさがして暴れていた

彼が作業で近づくと

温かい空気が流れてきて

私は何度も涙ぐんだ

夜の公園の木の陰で

彼の腕の中で懇願する

「諦めきれないし諦めたくない。待ってます。

だから時々こうやって抱きしめてください。

じゃないと壊れそう」

「わかったよ」

そうして力いっぱい抱きしめてくれる

そうして彼女の元へ帰っていく