寝ても醒めても
彼との生活が始まった。
思い描いていた幻想は木っ端微塵。
家では寝てばかりで
ストレスからだろうか体の不調を訴えてくる。
彼は猫を飼っていた。
彼にとって猫は肉親のような存在。
猫の名を呼ぶ。
私の顔を見ようとしない。
時折私の膝に擦り寄り
甘えてくる。
明らかに誰かと取り違えている。
身を切るような痛みが私を襲う。
私は誰?
これでよかったのか・・・・?
彼は仕事の帰り何処かへ寄っているようだ。
7時上がりなのに9時10時に帰る日が続く。
携帯に連絡をしても繋がらない。
帰ったら酔っ払って寝る。
「どこに行ってたの?」
「一人で飲んでた。」
・・・・嘘だ。
彼は一人でなんか飲まない。
会社の飲み会で二人で遅れた理由に使っていた「一人で飲んでた」。
また荒れた。
激しい自己嫌悪。
時に彼にぶつける。
彼も私も
いきなり6畳一間に縮まってしまった距離に戸惑い
私は苛ついた。